2010/06/11

典型的な1症例

針灸治療『失音』の1症例(札幌南区 60代の女性。初診日:2007年12月12日)

主訴:3ヶ月前に頚部の手術のさいに、気管の挿管が喉部を傷つけたため、咽喉の痛みと声がかすれて、発声困難です。
2007年11月22日に病院での検査の結果は咽喉部に2つの肉芽腫があるため、手術を勧めましたが、本人は手術をしたくないため、来院し針灸治療を求めて来ました。(右側1の写真)

望診:
舌淡、苔薄、脈細弱。中医の診断:喉喑(瘖)

治則:
補肺益腎、活血化鬱とする。
取穴:
太淵、太谿、増音穴(奇穴)、咽部の4穴(奇穴)。

【弁証論治】

上記病例は中医学の“喉喑”の範疇に属する。主に長く患い肺気(肺気は肺の生理の機能の活動を指す)の生成が不足し、 脾気虚弱 (脾気は脾臓の気を指す) のため、臓腑の働きが低下し、さまざまな症状が出てきました。

中国宋代医書《仁斎直指方》には“肺为声音之门,肾为声音之根”。(肺は声の扉で、腎臓は声の根だと意味です)と述べられています。喉は肺系に属し、肺脈は会厭(喉頭蓋)を通じ、腎脈は舌とつながる。したがって失音症は肺と腎臓の関係がきわめて密接であります。

太淵穴、太溪穴の組み合わせは肺、腎の気を補し(腎臓の働きを促す)、精気を充実にさせて、会厭(喉頭蓋)を上注して、声帯を奮い立たせます。
さらに、増音穴の2穴(奇穴)、咽部の4穴(奇穴)を取り、針を声帯の方向に点刺することで、声を出す事と消腫鎮痛することができ、経絡の損傷を修復の効果もあります。また、6穴(奇穴)の組みあわせることによって、活血化鬱(気血の流れも良くなり)し、清利咽喉することと喉頭部の症状を除くことができます。


<b>典型的な1症例</b>
5回目の治療で、病院の写真の検査結果は喉部肉芽腫が小さくなりました。 (右側2の写真)

しかも、喉部の痛みは激的に軽減し、声もある程度出る様になりました。


<b>典型的な1症例</b>

合計18回目の治療を行ったところで、喉部痛みが消失し、かすれ声、発声困難の症状も完治しました。

2008年2月5日の病院の検査結果により、喉部の肉芽腫は完全に消えました。(右側3の写真)
2年後、他の治療の為来院された時には、状態が正常化し、再発が見られなかった。

《有難うございます》の言葉の数々!

当院、典型的な病例の喜びの声

  • 札幌市 60代女性の投稿

このたびは先生の針治療では大変お世話になりました。
私は2年半程、前に首の手術を受けたさいに呼吸を確保する為に管をきかんに入れての手術でした。それが喉を圧迫して声をくす時に痛みをともなっていました。
病院では手術によってかん部を切除するとのでした。私は先生のもとにかけつけ針治療を受けました。
3度目の治療で喉の痛みが少しずつなくなり、肉芽腫がどんどん小さくなり現在ではすっかり良くなりました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとう御座いました。

2010年2月11日
札幌市 60年代女性