頭痛は多く急・慢性疾病において よく見られる臨床症状であり、起こす病気はさまざまで、病因も非常に複雑であります。
現在、日本では頭痛で苦しんでいる人が2千500万余人いると言われています。なんと、日本人のおおよそ5人に1.5人が頭痛を持ちという驚く数字になります。これほど多くの人がかかっている病気です。

中医学では頭痛の原因は「外感頭痛」「内傷頭痛」の2種類にわけられます。前者には「風・寒・暑・熱・燥・火」の六の邪気のため頭痛を引き起こすであり、後者には「喜・怒・思・憂・悲・恐・驚の七情」・「肝陽上亢」・「鬱血阻絡」・「肝鬱気結」等によって頭痛が生じると考えられています。
疼痛の部位はおおよそ正頭痛・頭頂部痛・偏頭痛の3つに分けられます。

WHO(世界保健機構)が認定している針灸治療適応症の中にも頭痛は含まれています。鍼灸治療により即効性とすこぶる効果がありますし、続けて治療することで予防効果もあります。
この20年間、当院で頭痛治療を受けた患者さんは688名の内、完治した患者さんは85%で、症状を改善された患者さんは99%でした。

ここでは当院で頭痛治療を受けられ、完治した典型的な三つ症例をご紹介します。

頭痛治療の典型的な症例

◇ 症例 ◇ 1

  • 正頭痛  (全頭痛)
  • 札幌市西区、男性の患者、45歳。
  • 初診日 2009年10月15日

1年前から、首から後頭部に沿って額まで刺すような全頭痛が現れ、全身の倦怠感、足腰のだるさ、胸が苦しい、食欲不振、咽喉の乾燥感、イライラなどの症状を伴っています。
診察による所見では舌苔が薄白、脈は細弦。本症例は「腎虚頭痛」に属しています。治療は「補腎益気」を施します。
一回目の治療を行ったところですぐに頭部の痛みが柔らか、やがて消えてなくなった。翌日二回目の治療を行ったところで全身の症状が大いに改善しました。毎日続け、五回目の治療で、すでに苦しい頭痛と全身の症状が消えなくなり、全快しました。その後、再発が見られません。

◇ 症例 ◇ 2

  • 頭頂痛 (とうちょうつう)
  • 札幌市南区、女性患者、31歳。
  • 初診日 2010年3月8日

2日前から頭のてっぺん部が我慢できないほど激しい痛みが起こって、鎮痛剤を飲んでも効果がなく、イライラして怒りっぽい、眩暈、耳鳴りなどの症状を訴えています。このほか、10年余り、生理痛があり、毎月生理の時に鎮痛剤に頼っています。
診察による所見では舌苔が赤い・脈は弦。本症例は「肝鬱気結」・「経絡閉塞」に属しています。治療は「疎肝理気」、「通絡止痛」を施します。
一回目の治療を行ったところ、我慢できないほどの激痛症状がすぐに消えて、全快しました。

◇ 症例 ◇ 3

  • 偏頭痛(へんずつう)
  • 札幌市中央区、女性の患者、25歳。
  • 初診日 2008年7月18日

患者さんは長年の偏頭痛の既往症があり、周期性的に発作を起こします。毎回発作時は3日間~一週間続きます。今日(18日)午前突然左側頭部に電気の走るような激しい痛みが起こって、嘔吐、左の目が赤いなどの症状を伴っているため、来院しました。
涼瀉針刺法を施します。治療1分間後に左側頭部の症状がほぼ消失しました。翌日も同施治法を行い、その後、電気の走るような激痛の症状が完全消えて、全治しました。